マテリアル基礎

レベル/ 対象者:基礎/CINEMA 4Dを少し使える人。
対象ソフトウエア、プラグイン:CINEMA 4D R12

絵の質は、照明とマテリアルの質で決まる。

冨士 俊雄/ gtofuji@gmail.com
章番号 題名 内容、及び関連する章 作成日/注記
021 1_基本的なチャンネル マテリアルマネージャ、レイヤ、カラー、発光、透過、屈折、鏡面反射、バンプ、ノイズ、スペキュラ 2011.6.8
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Step 1

はじめに

 一般的に、「絵」の品質は多くの設定の組み合わせによって決まります。これは3DCGに限ったことではなく、絵画や写真の場合も同じです。

 どの設定が一番重要か、またどの設定が一番難しいかは、作品によって大きく変わりますが、大体次のような順番になると私は考えています。


1. 照明とカメラ
 絵を作る時に一番基本となるのは、「照明」と「カメラ」です。これは、別の言葉で言うと「光」と「目」です。この二つがなければ、そもそも絵は成立しません。

 そして、この二つを自分のイメージ通りに設定できれば、他に何の設定もしなくても、十分な品質の絵を作ることができます。逆に、もしこの二つをうまく設定できなければ、他の部分をどんなに丁寧に設定しても、いい絵を作ることはできません。

 美術の授業では、初期の段階で「石膏デッサン」を行いますが、これは照明とカメラだけで絵を作るための訓練だと言えます。

図021-1
照明とカメラの設定だけで作った絵(サンプル021a のフレーム0)

2. マテリアルとアニメーション
 照明とカメラの次に重要なのは、「マテリアル」です。

 照明とカメラは、シーン(舞台)に属するもので、オブジェクト(演技者)の属性ではありません。それに対して、マテリアルは個々のオブジェクトを説明します。また、アニメーション作品の場合は、「アニメーション(動き、変化)」もオブジェクトを説明するための重要な属性になります。

 マテリアルとアニメーションをイメージ通りに設定できれば、非常に高度な表現が可能になります。

 美術の授業では、次の段階で「静物デッサン」を行いますが、これはガラスや布や金属や果物などの質感を描き分けるための訓練だと言えます。

図021-2
左は、中央の球体にガラスのマテリアルを(フレーム1)、右は発光するマテリアルを適用した例(フレーム2)。

 

3. テクスチャとモデリング

 オブジェクトの「ディティール(詳細)」を説明するための補助的な属性が「テクスチャ」と「モデリング」です。これは、言ってみれば演技者が着ている衣装や舞台のセットのようなものです。

 ただし、ここで言う「テクスチャ(模様)」は、特に「ビットマップ画像を使ったテクスチャ」に限定します。シェーダで作られた規則的なテクスチャは、マテリアルに含めます。また、ここで言う「モデリング」は、特に「細部のモデリング」に限定します。オブジェクトを作って組み合わせること自体は含めません。

 テクスチャやモデリングは、リアルな絵を作るために不可欠ですが、「照明」や「マテリアル」に優先するものではありません。

図021-3
左は、中央の球体に画像を適用した例(フレーム3)。右は詳細なモデリングを追加した例(フレーム4)。

 

 この章では、マテリアルマネージャと、よく使うチャンネルについて説明します。

 

 

Step 2

マテリアルマネージャとレイヤ

 CINEMA 4Dでは、マテリアルマネージャを使ってマテリアルを作成し、管理します。マテリアルの基本的な操作方法は次の通りです。

図021-4
図をクリックするとムービーが開きます。

1. 新規マテリアルを作るには、マテリアルマネージャのメニューから「ファイル -> 新規マテリアル」を選択します。

 マテリアルのプレビューをダブルクリックすると、「マテリアル編集」ウインドウが開きます。内容は属性マネージャと同じですが、マテリアル専用に作られているので、素早く作業できます。

2. マテリアルの名前を変えたい場合は、名前をダブルクリックします。

3. マテリアルを複製するには、「controlキー」を押しながらマテリアルをドラッグします。

4. マテリアルを消去したい場合は、「deleteキー」を押します。

5. マテリアルをオブジェクトに適用するには、マテリアルをオブジェクトマネージャに表示されたオブジェクト名の上にドラッグアンドドロップします。

6. オブジェクトに既にマテリアルが適用(リンク)され、テクスチャタグが存在する場合、マテリアルをテクスチャタグの上にドラッグアンドドロップすると、リンクを置き換えられます。


 次に、マテリアルをグループ分けしたい場合は「レイヤ」機能を使います。

図021-5
図をクリックするとムービーが開きます。

1. グループを作りたい場合は、まずマテリアルを選択し、マテリアルマネージャのメニューから「ファンクション -> 新規レイヤに追加」を選択します。

 すると、マテリアルマネージャにタブが表示され、タブの左上とマテリアルの左上におなじ色が付きます。

 あるタブを選択すると、そのレイヤに含まれているマテリアルだけが表示されます。

 左端にある「全て」タブを選択すると全てのマテリアルが表示され、「レイヤなし」を選択すると、レイヤが指定されていないマテリアルが全て表示されます。

2. レイヤの名前を変えたい場合は、タブをダブルクリックします。

3. 別のマテリアルグループを作りたい場合は、同じように「ファンクション -> 新規レイヤに追加」を選択します。

4. 新しく作ったマテリアルを既存のレイヤに含めたい場合は、「ファンクション -> レイヤに追加」を選択するか、マテリアルをタブにドラッグアンドドロップします。

 

 

Step 3

カラー

 「カラー」チャンネルは、マテリアルの基本的な性質の一つです。

 カラーチャンネルは、「ライトからの直接光」や、「GIによる間接光」を受けて、オブジェクトの色を表現します。この時光は「拡散反射」します。拡散反射とは、入射した光があらゆる方向に拡散して反射されることです。

図021-6
サンプル021bのフレーム0

 カラーチャンネルが表現する色は、カラーそのものの色と照明の色の両方の影響を受けます。また、入射する光が暗かったり入射角度が浅い場合、その部分の色は暗くなります。

図021-7
左はマテリアルの色が、左はライトの色が拡散反射の色に影響している。

 

 現実世界において、全ての物質はカラーの性質を持っています。必ず設定して下さい。

 

 

Step 4

発光

 「発光」チャンネルも、マテリアルの基本的な性質の一つです。

 発光チャンネルは、直接光や間接光に「関係なく」、オブジェクトの色を表現します。この時光は「拡散放射」します。拡散放射とは、オブジェクト内部で発生した光があらゆる方向に拡散して放射されることです。

図021-8
フレーム1

 発光チャンネルが表現する色は、発光そのものの色だけで決定されます。その結果、全ての部分が同じ明るさで表現され、オブジェクトの形状が判らなくなります。

図021-9
ライトやGIから入射する光に関係なく発光する。

 

 現実世界において、全ての物質が発光の性質を持っているわけではありません。しかし、発光するものは小さくても目立ちます。これは発光するものが人間にとって有益だったり危険だったりするからです。

 本来なら、発光するものにはライトオブジェクトを仕込むのですが、発光するものが複雑な形をしていたり、数が多い場合は発光するマテリアルで表現するのが簡単です。

 GI(グローバルイルミネーション)を使うと、ライトと同じように発光するマテリアルでシーンを照明できます(010章を参照)。

 

 

Step 5

透過、屈折

 「透過」チャンネルも、マテリアルの基本的な性質の一つです。そして、基本的な性質の中では一番難しいチャンネルでもあります。

 透過チャンネルは、オブジェクトを透明にし、その先に見えるマテリアルを表現します。この時光は、反射ではなく「透過」します。また、光が透過する際に光を「屈折」させることもできます。

図021-10
フレーム2、フレーム3

図021-11
左上と左下が透過。右上と右下が屈折。

 透過チャンネルが表現する色は、まず第一に透過そのものの色と背後にあるマテリアルの色の影響を受けます。

 しかし、実際の透過はもっと複雑です。理由は、現実に存在する透明なオブジェクトは、必ず「カラー」や「鏡面反射」の性質も持っていて、しかもそれらのバランスが光の入射角度によって変化するからです。

図021-12
透過と屈折だけでなく、鏡面反射とカラーを設定したマテリアル (フレーム13)。

 ただし、入射した光が増えることはありません。つまり、「透過」、「カラー」、「鏡面反射」の光を全部足しても入射光を超えることはありません。例えば、入射光の50%が透過するなら、残りの鏡面反射とカラーの光の合計は50%以下になる、ということです。

図021-13
左は屈折とカラーが同時に生じている場合。右は屈折と鏡面反射が同時に生じている場合。

 

 また、透過する光は必ずオブジェクトに「入る時」と「出る時」の2回計算されます。そしてそれぞれについて、「透過」、「カラー」、「鏡面反射」の3種類の光が計算がされます。つまり、透過のレンダリングは、他のチャンネルよりも重くなります。

 特に鏡面反射は放っておくと無限に計算がくり返され、レンダリングが終わらなくなります。したがって、CINEMA 4Dでは鏡面反射の計算回数をデフォルトで「5回」に制限しています。しかし、これでも十分に重いので、もし透明なオブジェクトのレンダリングが非常に遅くなった場合には、「レンダリング設定 -> オプション」ページで「鏡面反射の計算回数」の値を「2〜3」に下げてみて下さい。

 

 現実世界において、全ての物質が透過の性質を持っているわけではありません。しかし、透明なものは目立ちます。それは透明なものが人間にとって重要だからです。例えば、水や空気は透明です。また、人間の目も透明です。

 ですから、透明なマテリアルを作る時には十分に時間をかけてください。また、透明なマテリアルをリアルに作るには、写真を参考にするのが一番です。

 

 

Step 6

鏡面反射

 「鏡面反射」チャンネルも、マテリアルの基本的な性質の一つです。

 鏡面反射チャンネルは、オブジェクトを鏡にし、映りこむマテリアルを表現します。この時光は「鏡面反射」します。鏡面反射とは、入射した光が「面の法線に対称な方向」にだけ反射されることです。それ以外の性質はカラーチャンネルと同じです。

図021-14
フレーム4

 鏡面反射チャンネルが表現する色は、鏡面反射そのものの色と映りこむマテリアルの色の両方の影響を受けます。したがって、映りこむマテリアルがない部分は黒くなります。

図021-15

 

 現実世界において、ほとんどの物質は「鏡面反射」と「カラー(拡散反射)」の両方の性質を持っています。そういう意味では、なるべく多くのマテリアルに鏡面反射を指定すべきなのですが、鏡面反射の計算は重いので、レンダリング時間とのバランスを考えながら使うようにして下さい。

 

 

Step 7

バンプ、ノイズ

 「バンプ」チャンネルも、マテリアルの基本的な性質の一つです。

 バンプチャンネルは、オブジェクトの表面にある微細なでこぼこを表現します。この時光は、でこぼこに影響されて変化します。

図021-16
左はカラーがバンプに影響されている(フレーム5)。右は鏡面反射がバンプに影響されている(フレーム6)。

図021-17
鏡面反射がバンプに影響されている様子。
実際に表面が変形するわけではない。また実際に光が分岐することもない。

 

 バンプチャンネルは特殊なチャンネルです。

1. バンプチャンネルそのものは色を持たず、他のチャンネルの色に影響を与える。
 なぜなら、バンプチャンネルは「色」や「光」ではなく、「形状」を扱うチャンネルだからです。

2. バンプチャンネルには「テクスチャ(模様)」を指定する必要がある。
 他のチャンネルは、テクスチャを指定しなくても「一様な性質」を持つことができます。これに対して、バンプは表面のでこぼこ(つまり一様でない表面)を表現するチャンネルなので、でこぼこの元になるテクスチャが必要なのです。

 

 現実世界において、全ての物質は、程度の差こそあれ表面がでこぼこしています。大きなでこぼこは、ポリゴンモデリングしたり、デフォーマで変形させて表現する必要がありますが、小さなでこぼこはバンプチャンネルを使って表現すると簡単です。

 でこぼこが目立たないオブジェクトでも、軽くバンプをかけるとリアリティーが向上します。単純に表面をザラつかせたい場合は、「ノイズ」シェーダを使うと便利です。

 ただし、バンプチャンネルはオブジェクトを変形させないので、面を横から見るとでこぼこが無くなってしまいます。また、でこぼこの影を表現できません。このような表現が必要な場合、つまり中ぐらいのでこぼこを表現したい場合は、「変位」チャンネルを使って下さい。変位チャンネルは、本当にオブジェクトの形状を変えます。

 

 

Step 8

スペキュラ

 「スペキュラ」チャンネルも、マテリアルの基本的な性質の一つです。

 スペキュラチャンネルは、「ライトの映りこみ」を表現します。この時光は「鏡面反射」します。鏡面反射とは、入射した光が「面の法線に対称な方向」にだけ反射されることです。

図021-18
フレーム7

 したがって、スペキュラチャンネルの働きは、基本的に鏡面反射チャンネルと同じだといえます。違っているのは、「映りこむのがライトだけ」という点です。


 それではなぜ鏡面反射とは別に、スペキュラというチャンネルが作られたかと言うと、それは3DCGの歴史を考える必要があります。まず、鏡面反射や屈折を計算するには、「レイトレーシング」という方法でシーンをレンダリングします。しかし、30年前のコンピュータでレイトレーシングの計算を実行するのは非常に大変なことでした。そこで、「鏡面反射の安価な代用品」としてスペキュラというチャンネルが考案されたのです。

図021-19
スペキュラを使わずに鏡面反射でライトの映りこみを表現した絵(フレーム10)。


 しかし、現在ではコンピュータが高速になり、数秒で鏡面反射の計算が終わります。鏡面反射を使うと、ライト以外のオブジェクトの映りこみも正確に表現されるので、絵のリアリティーは格段に向上します。それでは、スペキュラチャンネルはもう使わなくていいのか、と言うとそうでもありません。

1. 速度的な理由で
 GIや拡散鏡面反射を重ねていくと、現在のコンピュータでもレンダリングはどんどん重くなっていきます。そのような場合、重要度の低い部分の鏡面反射を外してスペキュラでごまかす、というのは現在でも有効な解決法です。

2. 機能的な理由で
 スペキュラは「擬似的な鏡面反射」ですが、それを逆手に取って特殊効果にも使えます。つまり、「異方性反射」や「メタリック」といった性質を簡単に表現できるのです。鏡面反射チャンネルを使って、異方性反射やメタリックを表現することは、非常に困難です。

図021-20
左は異方性反射の例(フレーム11)。右はメタリックの例(フレーム12)。 

3. 総合的な理由で
 鏡面反射とスペキュラには、それぞれ一長一短があります。ですから、場合によって使い分け、また併用すればいいのです。実際、図021-20では、鏡面反射とスペキュラを併用しています。

 

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