テクスチャ基礎

レベル/ 対象者:基礎/CINEMA 4Dを少し使える人。
対象ソフトウエア、プラグイン:CINEMA 4D R12

テクスチャは、オブジェクトに着せる服。

冨士 俊雄/ gtofuji@gmail.com
章番号 題名 内容、及び関連する章 作成日/注記
034 4_BodyPaint 3D   2011.6.23
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Step 1

3Dペイント

 テクスチャを作ったり貼ったりする作業は概して楽しくありません。それには二つの理由があります。


1. 作業が抽象的

 例えばモデリング作業であれば、CINEMA 4Dのエディターでポイントを動かした瞬間に形状が変わるので、直感的に作業を進められます。だから楽しいのです。これに対して、Photoshopでテクスチャを描いている時、それがCINEMA 4Dの中でどのように表現されるかを予測するのは困難です。

図034-1
テクスチャ(2D)とオブジェクト(3D)の関係を予測できない
 
 オブジェクトの形状、マテリアル、投影法、照明など、いろいろな条件を計算しながらテクスチャを描く必要があり、それはとても抽象的で難しい作業だと言えます。


2. 作業を簡略化できない

 例えばモデリング作業であれば、まず立方体や円柱などのプリミティブを組み合わせて「簡略化したシーン」を作ることができます。そして、このシーンを使って全体のバランスを見たり、照明やアニメーションのテストをしたり、作業のスケジュールを決めたりします。この簡略化したシーンは、普通数時間、長くても数日で完成します。だから楽しいのです。
 
 しかしテクスチャの場合、「簡略化して描く」とか「簡略化して貼る」ということができません。だから、簡略化したシーンを作る時には普通テクスチャを貼りません。

図034-2
テクスチャを「簡略化」して貼る方法がない。


 このようなテクスチャ作成作業の難しさは、特に初心者にとって大きな問題となります。なぜなら、初心者はテクスチャを描くための抽象的な計算ができず、またシーン作成の過程でマテリアルやテクスチャを追加する適切なタイミングが判らないからです。

 その結果、マテリアルやテクスチャが全くない「真っ白な世界」を完成させてしまい、その後「どうやってテクスチャを貼ろうか」と考えて途方に暮れるのです。「真っ白な世界」にまともなテクスチャを貼る方法は存在しません。


 このような問題を解決するために、「3Dペイント」という機能が開発されました。CINEMA 4Dには、「BodyPaint 3D」という名前の3Dペイント機能が入っています。

1. BodyPaint 3Dを使うと、CINEMA 4Dのエディタでオブジェクトに直接ペイントできます。また、「カラー」チャンネルのテクスチャをペイントすればカラーが変わり、「バンプ」チャンネルをペイントすれば、でこぼこが変ります。つまり「抽象的な計算」をする必要がありません。だから楽しくテクスチャを描けます。

図034-3
直感的に描ける。

 

2. BodyPaint 3Dを使うと、複数のオブジェクト、複数のマテリアル、複数のテクスチャ、複数のレイヤを同時にペイントできます。つまり、シーン全体のテクスチャを「簡略化して描く」ことが可能になります。

 もちろんこの方法で正確なテクスチャを作ることはできません。しかし、まず最初に「簡略化したテクスチャ」を作り、そこから必要な部分だけ「精密なテクスチャ」に置き換えていく、という作業手順を取ることができます。だから楽しくテクスチャを描けます。

図034-4
直感的に描ける。

 

 

Step 2

BodyPaint 3D、3Dペイント

 それではBodyPaint 3Dを使ってみましょう。

図034-5

 まず「立方体」を作成し、マテリアルを適用します。ここまでは通常のCINEMA 4Dの作業です。

 次に、メニューとウインドウレイアウトをBodyPaint 3Dに切り替えます。CINEMA 4DもBodyPaint 3Dも非常に多くの機能を持っているので、CINEMA 4Dを使っている間はBodyPaint 3Dの機能が隠れているのです。

 さらに、BodyPaint 3Dには「3Dペイント」と「UV編集」の二つのモードがあるのですが、まずは「3Dペイント」を選択して下さい。

 次に、マテリアルマネージャでプレビューの右をクリックすると、エンピツアイコンが表示され、「3Dペイント」モードに切り替わります。

 次に、「カラー」チャンネルに新規テクスチャを追加します。これで、とりあえず3Dペイントできるようになりました。

 

 

Step 3

BodyPaint 3D、UV編集

 しかし、立方体にペイントすると、各面に同じテクスチャが表示されます。これでは困ります。これはテクスチャの投影法が「UVW マップ」になっていて、デフォルトのUV座標が「立方体」投影と同じになっているためです。

 それでは、BodyPaint 3Dのレイアウトを「UV編集」に切り替えて、このオブジェクトのUV座標がどうなっているか確認してみましょう。

図034-6

 立方体投影の場合、各面のUV座標がテクスチャ全面に対応しています。各面のUV座標を小さくしてテクスチャの中に並べればいいのですが、プリミティブのUV座標は編集できません。そこで、立方体を編集可能にします。

 立方体を編集可能にして「UVポリゴン」モードに切り替えると、各面(UVポリゴン)を選択できるようになります。それでは「UVマネージャ」を開き、「適用」ボタンを押して下さい。各UVポリゴンが小さくなり、テクスチャの中にうまく並びました。これで、オブジェクト全体を1枚のテクスチャでうまくカバーできたわけです。


 BodyPaint 3Dは、各投影法で貼付けたテクスチャでもペイントできます。しかし、図034-1のような複雑な形状のオブジェクトに一つの投影法でテクスチャを貼るのは無理です。したがって多くの場合、投影法をUVW マップに切り替え、ペイント前にUVポリゴンをきれいに並べ替えておく必要があります。

 

 

Step 4

ポリゴンを塗りつぶす

 BodyPaint 3Dで、「レイヤ -> ポリゴンを塗りつぶす」ツールを使うと、ポリゴン単位で効率よく色を付けることができます。

図034-7

 Photoshopの場合、ある領域を塗りつぶすには何らかの方法で選択範囲を作る必要があります。しかしCINEMA 4Dの場合、初めから「UVポリゴン」という形の選択範囲が存在するので、それをうまく利用するわけです。

 また、ポリゴンを選択して「選択 -> 選択範囲からマスクを作成」を使うと、選択したUVポリゴンからPhotoshopと同様の選択範囲を作ることもできます。この状態で「塗りつぶし」ツールを選択すれば、ポリゴン全体を塗りつぶせます。また、ブラシでペイントした場合でも選択範囲外へのはみ出しを防止できます。

 

 

Step 5

テクスチャペイント

 BodyPaint 3Dの「描画色設定」で、「単色」モードから「テクスチャペイント」モードに切り替えると、テクスチャを使ってペイントしたり、塗りつぶしたりできます。

図034-8

 この機能を使うと、たくさん用意した「木目」、「石」、「芝生」などの素材テクスチャを、一つの大きなテクスチャの中にまとめることができます。そして、CINEMA 4Dの機能でテクスチャを貼る場合に必要な、マテリアルの設定や、テクスチャタグの中のテクスチャ軸や投影法に関する設定が全て不要になります。

 

 ただし、この機能を使う場合は非常に大きなテクスチャが必要になります。なぜなら、CINEMA 4Dの機能で素材テクスチャを貼る場合、普通「タイリング」しますが、BodyPaint 3DはUVポリゴンをタイリングせず展開するからです。

 タイリングしないことによって、変化のある自然なテクスチャを表現できますが、やはり限界があります。建築パースなど、オブジェクトが複雑で大きく、しかも精細なテクスチャを貼る仕事では、BodyPaint 3Dを使わずに、普通の投影法でテクスチャを貼った方がいいでしょう。

 

 

Step 6

テクスチャを焼成

 「テクスチャを焼成」は、BodyPaint 3Dの機能ではありませんが、テクスチャ作成作業を補助する強力な機能です。

 例えば、図034-2にある建築物には、マテリアルやテクスチャが全く付いていません。これに「アンビエントオクルージョン」を適用すると、陰の部分が暗くなって立体感が強調されます。

図034-9
アンビエントオクルージョンを使って陰の部分を強調した。

 この暗くなった部分を、「光が当たらないから暗いのだ」と解釈するか、「ホコリがたまったり汚れたりして黒いのだ」と解釈するかは場合によりけりですが、おそらくどちらの可能性もあるでしょう。

 

 そして、照明による変化はテクスチャと関係ありませんが、ホコリや汚れに関する変化は本来テクスチャで表現するべきものです。「テクスチャを焼成」機能を使うと、このアンビエントオクルージョンの計算結果をテクスチャの中に焼き込むことができます。

図034-10

 「テクスチャを焼成」機能を使うには、事前にUVポリゴをきれいに展開しておく必要があります。本来これは面倒な作業なのですが、BodyPaint 3Dを使えば簡単に展開できます。

 次に、テクスチャを焼成したいオブジェクトを選択し、メインメニューから「レンダリング -> テクスチャを焼成」を選択すると、「テクスチャを焼成タグ」ができます。

 このタグの中の「タグ」タブで適切な解像度を指定し、「オプション」タグでテクスチャに焼き込む情報として「アンビエントオクルージョン」を選択します。このリストを見てもわかるように、テクスチャを焼成機能には非常に多くの使い方があります。

 設定が完了したら、「焼成」ボタンを押して下さい。

 テクスチャの焼成が終わったら、そのテクスチャを開いてコピーし、建物のテクスチャにペーストします。すると、テクスチャにアンビエントオクルージョンを焼き込んだ建物だけが強調されたはずです。試しにアンビエントオクルージョン機能を外してレンダリングすると次のようになります。

図034-11
アンビエントオクルージョンをテクスチャに焼き込んだ建物だけが強調されている。

 

 テクスチャの焼成には次のような利点があります。

1. レンダリングしなくてもシーンをリアルに表現できる(3Dゲームに使うため)。
 CINEMA 4Dでは、普通多くのマテリアルやライトを設定し、時間をかけてレンダリングすることでリアルなシーンを表現します。しかし、その結果をテクスチャに焼き込んでしまえば、レンダリング作業が不要になります。

 もちろん焼き込める情報には限りがあるのですが、このような利点から、3Dゲームではオブジェクトやマテリアル、ライト、照明などの結果を焼成したテクスチャがよく使われます。


2. GIやアンビエントオクルージョンのような重い機能をテクスチャに焼き込んでおけば、その後の作業が軽くなる(レンダリング時間を節約するため)。
 ただし、一度焼き込んだテクスチャは変化しないので、照明条件が変化する場合は使えません。この点に注意して下さい。ただし、目立たない背景のオブジェクトなどではまず問題になりません。


3. BodyPaint 3Dを使ってGIやアンビエントオクルージョンの効果を自由に修正できる(表現の自由を拡げるため)。
 一般的に、照明やアンビエントオクルージョンの調整は難しく、また部分的に修正する方法はありません。しかしテクスチャに焼成してしまえば、BodyPaint 3Dを使って自由に変更できます。
 

 BodyPaint 3Dには他にも多くの便利な機能があます。この章で説明した機能はほんの一部にすぎません。しかし、起動した時にその機能が隠れているためか、ほとんどの人がBodyPaint 3Dを使っていません。もったいないことです。
 この章が、みなさんがBodyPaint 3Dを使い始めるきっかけになることを願っています。

 

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