iPod Touch 1

レベル/ 対象者:中級/ CINEMA 4Dを少し使えて、モデリングが好きな人
対象ソフトウエア、プラグイン:CINEMA 4D R12

モデリングに近道なし。

冨士 俊雄/ gtofuji@gmail.com
章番号 題名 内容、及び関連する章 作成日/注記
101 1_準備 作るものを決める、iPod Touch 4、資料を集める、図面を描く、ダミーオブジェクト、テクスチャを作る、テクスチャプレビュサイズ、 2011.8.14
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Step 1

作るものを決める、iPod Touch 4

 CINEMA 4Dで何かを「モデリング」する際に、まず最初に考えなければいけないのは、「それを作るべきか」ということです。

 3DCGに限らず全ての技術に共通することですが、技術には必ず「得意」と「不得意」があります。また、3DCGにおいても、各ソフトごとに得意、不得意があります。

 例えばCINEMA 4Dで建築CGを作る場合、「建築物本体」は簡単に作れます。しかし、「添景」であるはずの「樹木」や「人物」を作るのは非常に困難です。このような場合、可能なら樹木や人物はCINEMA 4Dの中で作らず、レンダリング後に実写画像を2Dで合成してしまった方が楽で、しかも高品質に仕上がります。


 今回は、「小物」ということで「第4世代のiPodTouch」を作りますが、その理由は「CINEMA 4Dで作りやすい」からです。同じ小物でも、「ぬいぐるみが付いた携帯ストラップ」などは非常に作りにくいので、余程のことがなければ作らない方がいいです。

 中には「仕事なので作るものを自分で選べない」という人もいるかもしれません。しかし、明らかに3DCGに向いていないものを作る仕事が来た時は、理由を述べた上で断った方がいいと思います。無理して作っても、十分な品質に達しなければ、どのみちその仕事は長続きしません。

 

 次に、何かを作ると決めた時に考えなければならないのは、「どうやって作るか(方法、手順)」ということと、「どこまで作るか(程度、品質)」ということです。これらは、クライアントの要望、納期や予算、自分の能力などから逆算して決定していくことなので、条件によって大きく変わります。つまり、一概に「この方法が一番いい」とは言えません。

 例えば、今回私がこの講座で説明するモデリング方法も、「CINEMA 4Dを少し使える人が2日間で作れる」という条件の中で考えたもので、「この方法が最善である」とか「全ての場合にこの方法が使える」、というわけでは決してありません。

 したがって、モデリング作業を始める前に「どうような方法で、どこまで作り込むか」、を十分に決めておくにはかなりの知識と経験が必要です。特に初心者にとっては「全く見当がつかない」かもしれません。しかし、これはとても重要なことなのです。「全く見当がつかないから、行き当たりばったりで適当に作ってみよう」では、いつまでたっても上達しません。見当がつかないなりに、計画的に作業を進めるように心がけて下さい。

 

 

Step 2

資料を集める

 何を作るにしても、資料集めは非常に重要な作業です。ここで手を抜くと、作品の品質が下がるだけでなく、作業効率自体も低下します。なぜなら、前のステップで説明した「どうような方法で、どこまで作り込むか」ということは、資料集めをしながら平行して考えるものだからです。

 考えながら資料を探せば、短期間で必要充分な資料を集められます。それに対して無計画に資料を集めると、「使えない資料ばかりあって、必要な資料がない」ということになります。

 しかし、昔と違って資料集めはずいぶん楽になりました。インターネットで多くの情報を収集でき、またスキャナやデジカメを使って資料を集めれば、直接それらの資料をテンプレート(下敷き)としてモデリング作業を進められます。今回はiPodTouchの分解写真を公開している次のサイトと、iPodTouchの実物、およびそれをスキャナで取り込んだ画像を元にしてモデリングしました。

 

1. iPodTouchの分解写真を公開しているサイト

 

2. iPodTouchの実物

図101-1


3. スキャナで取り込んだ画像

図101-2

 

 

Step 3

図面を描く

 何を作るにしても、図面書きは非常に重要な作業です。なぜなら、図面を描く作業を通じて、ステップ1で説明した「どうような方法で、どこまで作り込むか」ということをより細かく考えられるからです。

 また、自分の手で図面を描くことで、モデリングするものの形状、構造、数値などが頭の中に明快に刻み込まれます。最初に図面を頭の中に入れておけば、モデリング中の試行錯誤や失敗を最小限に減らせます。


 場合によりけりですが、納期の1/4程度は資料集めや図面を描く作業に当てるべきです。ところが、私がこのように言うと、ほとんどの人は「忙しくてそんな時間は取れない」と答えます。しかし、作るものの形状や構造を頭に入れずにいきなりモデリング作業を始めても、「ズレ」や「はみ出し」が頻発し、「失敗」や「作り直し」の連続になります。納期の1/4ぐらいは簡単に失われますし、時間内に全ての「失敗」を修正できず、出来の悪い作品になってしまいます。

 忙しいとか、時間がないと言う人は、「なぜ忙しくなってしまうのか」について一度考えてみて下さい。


 3DCGに限らずなんでもそうですが、「失敗」は「修正するもの」ではなく「発生させないもの」です。つまり、失敗を発見してから図面を確認しているのでは遅いのです。なぜなら、その時には他にもいろんな失敗が発生していて、ただ図面が頭に入っていないあなたにはそれが見えていないだけだからです。発見されない失敗は修正されません。


 それから、「図面は既にあるので、わざわざ描き直す必要はない」という人もいます。しかし「図面がある」ということと、「図面が頭に入っている」ということは全く別です。その図面を自分が描いたのならいいですが、他人が描いた図面をただ持っているだけではほとんど役に立ちません。その図面を理解するために、自分で描き直すことをお勧めします。

 改めて書きますが、図面を描くのは、「早くきれいに」作品を作るためです。また、「図面を描くのが面倒」という人は、そもそも3DCGをやらない方がいいです。図面を描くよりずっと面倒ですから。


 下の図は、この講習で使う図面の例です。これは講習会用ということでCADソフトを使って清書していますが、みなさんが自分の作品を作る時はもちろん手描きで構いません。私も最初は手描きの図面を使ってモデリングしました。今回は、このような図面を13枚描きました。かかった時間は、資料集めと図面描きに1日(テクスチャ作成も含む)、モデリング(マテリアル作成やレンダリングも含む)が2日です。

図101-3
図面を全てダウンロード(PDF形式)

 

 

Step 4

ダミーオブジェクトを作る

 モデリング作業をする時には、「ダミーオブジェクト」を作っておくといろいろな作業を効率よく進めることができます。ダミーオブジェクトというのは、これからモデリングするオブジェクトを直方体などのプリミティブで置き換えたもので、ほとんどの場合「幅、奥行き、高さ」などの値しか合っていません。

 しかし、このダミーオブジェクトにスキャナで取り込んだ画像を貼ると、そこから部品の位置や大きさ、形状を求めたり、テクスチャを作成することができます。

図101-4

 図101-4の下に見えるのがダミーオブジェクトで、それを下敷きにしてボディ背面のロゴや文字を直接スプラインで作成しています。こうすれば、図面を起こす必要がなく、短時間で正確なテクスチャを作成できます。

 テクスチャをこのような目的に使う場合、デフォルトのままでは解像度が足りません。マテリアル編集から「エディタ」パネルを開き「テクスチャプレビュサイズ」の値を大きくすると、十分な解像度のテクスチャをエディタに表示できます。

図101-5

 ただし、テクスチャプレビュサイズを大きくするとそれだけ多くのメモリを必要とします。とは言っても、現在の標準的なPCであればほとんど気にする必要はありません。

 

 

Step 5

テクスチャを作る

 今回は次の4種類のテクスチャを作成しました。テクスチャの作成は基本的に2Dの作業なので、詳細については省略します。私は全てCINEMA 4Dの中で作成しましたが、IllusutratorやPhotoshop等自分の使いやすいソフトを使って下さい(全てのテクスチャをダウンロード)。

 また、今回は部品をモデリングする時にIBL(イメージベースドライティング)を含んだシーンを使っています。IBLを使うと、オブジェクトのマテリアルがリアルに表現され(特に透過、鏡面反射、ハイライトチャンネルなど)、正確なマテリアルを作れます。IBLを使うにはHDRパノラマ画像が必要です(手持ちのHDR画像がない場合は、照明基礎の講習で使ったHDR画像(24MB)をダウンロードして下さい)。

 

1. フロントガラス背面に印刷してあるマスク

図101-6

 スキャナで取り込んだ画像を下敷きにして作成しました。解像度は「1130*2172ピクセル」になっています。フロントガラスの大きさが「56.5*108.6mm」なので、1mmが20ピクセルに相当するようにしました。こうしておくと、Photoshopの単位とCINEMA 4Dの単位がそろうので作業が楽になります。

 

2. 液晶画面

図101-7

 iPodTouchのスクリーンショット機能を使って作成しました。iPod Touchでは、「ホームボタン」と「スリープボタン」を同時に押すと、「写真 -> カメラロール」の中にスクリーンショットが保存されます。今回は全部で6枚のスクリーンショットを使いました。解像度は「640*960ピクセル」になっています。

 

3. ホームボタンのマーク

図101-8

 スキャナで取り込んだ画像を下敷きにして作成しました。解像度は「200*200ピクセル」になっています。これも1mmが20ピクセルに相当するようにしました。

 

4. ボディ背面にエッチングしてあるロゴと文字

図101-9

 スキャナで取り込んだ画像を下敷きにして作成しました。解像度は「1178*2220ピクセル」になっています。これも1mmが20ピクセルに相当するようにしました。

 

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